2019.11.01
#Introduction:komakinex
2019年11月6日(水)に開催の
Interim Report edition4では、複数のキュレーターが出演者を選抜する方法を実験的に採用。ここで紹介するkomakinex氏は、
Tokyo Developer’s Study Weekend(TDSW)によってキュレーションされたクリエイターだ。komakinex氏の活動についてや、彼から見たTDSWはどんなものかについて話を伺った。
#Introduction
Interim Reportをとおしてアウトプットする人や組織にインタビュー。活動内容やその背景、制作環境について聞く。
活動のはじまりは大学院生のとき
──まずはkomakinexさんの活動の来歴を教えてください。
ずっと関西に居て、大学では工学部で光触媒の研究をしていました。大学院を1年で中退した後、上京してデジタルハリウッド東京本校(デジハリ)に1年通いました。今年の春に卒業して、夏頃からデザインエージェンシーの株式会社たき工房でインタラクティブコンテンツなどを開発するプログラマとして働いています。個人ではVJといった映像表現の活動をしています。
──化学系の研究をしていたんですね。そこからなぜクリエイター活動をすることになったんですか?
2016年にアナザースカイというテレビ番組で、チームラボの猪子寿之さんを見たのがきっかけです。自分たちの作品で世界を変えていくという話に影響を受けました。それまでは企業で研究職をしようと思っていたんですけど、チームラボのように作品で世界に影響を与えたいと思い、調べたところプログラミングでそういった表現が出来ると知り、自分でも作ってみようと始めました。
とはいえ、プログラミングは大学で単位を落とすくらいワケがわからなかったですし、今まで芸術を学んだこともなかったです。
ひたすらインプットした1年半
──初心者の状態から1年で希望する領域で就職まで決めてすごいですね。こぎつけるために、具体的にどのようなことをしたんですか?
上京した理由でもあるんですが、東京には展示会とかでも何でもすべて集まっているじゃないですか。最初はビジュアルのプログラミングを学び始めるのに合わせて、多摩美術大学の吉橋昭夫准教授のデッサンワークショップに行ってみたんです。そこで、先生にインプットの方法を聞いてみると「最初は良し悪しがわからないから、自分の目でできる限りたくさん見たほうがいい。そのうち自分の好みがわかるから、今はとにかくたくさん見なさい」と言ってもらって、とりあえず美術展やインスタレーションを種類問わずたくさん見に行きました。
それから自分が見たもの、体験したことの中で良いと思ったところを言語化して、かっこいいと思う理由を分解することで自分の表現に落とし込めるようになってきました。
──Interim Report edition4ではTDSWのキュレーションのVJとして出演されますが、TDSWではワークショップをかなり受講されてるのですか?
かなり受講してきました(笑)僕のTouchDesigner歴がTDSWの受講期間とほとんど被っているので、影響はとても大きいです。TDSWで学んだことの上に成り立っていると言っても良いくらいです。そのおかげで就職できた部分もあるので、TDSWに行ってなかったら今頃何しているか全くわからないです(笑)
──TDSWのワークショップに参加して、ここが良かった!みたいなものがあれば教えてください。
基礎的な講座とは別に、インスタレーションや演出の第一線で活躍している人のワークショップがあって、そこで実際に現場で使っているファイルについて直接で聞けて、質問ができるのがめちゃめちゃ大きかったなと思います。時には思いもよらない方法でツールを使われていて、知らなかったら知らないまま終わってしまうので、独学では知る機会のないことを知れるのは本当に重要だと思います。
そして受講する方たちも映像制作やインスタレーションなど、同じものに興味を持っていて、かつ様々なバックグラウンドの人たちが集まっているのでとても世界が広がりました。
また、技術的な面だけでなく、VJの
カゾエノブアキさんと共同で主催しているVJ概論の活動も、今まで全く知らなかったクラブカルチャーやライブ演出の世界など、様々なクリエイターをどんどん巻き込んでいったすごくパワフルなコミュニティだと思います。
他にも、TDSWは海外のカンファレンスで発信していたり、海外の方を講師として招いたワークショップを開催していて、世界中のクリエイターを身近に感じることができました。
今年の9月にTDSWが上海で合同主催した「光点FLARE2019」に遊びに行ったのですが、その影響で海外で活動してみたいという野望が生まれました。オーディオビジュアルは言語を問わないので、自分と同じような活動をしている世界中の人と繋がれるし、世界に向けて自分の思うかっこよさを表現できればいいなと思っています。
制作環境
──スタートからTouchDesignerだったんですか?
デジハリの授業ではProcessingがメインだったんですけど、TouchDesignerは大学院のときから知っていました。1→10, Inc.の森岡東洋志さん主催のワークショップに参加したのが始まりです。Unityも触っていたのですがコードが全然わからなかったので、ノードベースであるTouchDesignerの方が敷居が低く、自然と使い続けています。
──他の制作環境への関心はどうでしょうか。
僕が一番尊敬しているプログラマは
比嘉了さんなんですけど、比嘉さんがTouchDesignerでやっている限りは、めちゃめちゃ色んなことができるんだろうなと信じて、今のところTouchDesignerを使い続けています。少しHoudiniと組み合わせるだけでも色んなことが可能になるので、先が見えないです(笑)
比嘉さんの他にも、例えば橋本麦さんは表現の中に技術的な面白さが入っていて、ツールのモノボケというか、もともとある機能だけでなく自分で拡張したり、使い方をハックして新しい表現を生み出したり、そのツールに精通しているからこそ作れるものがあるという境地に憧れています。
──たまたまですが、Interim Report edition4では比嘉さんにもご出演いただきます。(すずえりさんとのユニット「ひがえり」として)
そうなんですよね、比嘉さんも出演されることを知ってめちゃめちゃ緊張してます。出演者の欄で比嘉さんと並んでkomakinexって載ってるところをスクショしました。これは永久保存や!って(笑)
──ツールの使い方についての考えを伺いましたが、ハードウェアにもこだわりはありますか?
比嘉さんと「HEXPIXELS」というVJユニットをされている
Kezzardrixさんが、マウスでカチカチやっているのに憧れて、MIDIコンを使わずにマウスだけで戦っています(笑)
技術面に面白みがあるパフォーマンスを
──Interim Report edition4では、どんなパフォーマンスをする予定ですか?
単に映像として見ごたえのあるものではなく、技術的に面白いと思ってもらえるようなことを取り入れたいと思っています。最近は、カメラで撮った映像にCGを合成するマッチムーブにはまっています。ちょっとした違和感があるものに興味があるので、現実世界の映像に非現実的なCGを乗せられる部分が面白いなと思っています。
映像を作るときは空間を意識していて、どうやったらかっこよく見えるかカメラを動かしながら試行錯誤しているんですけど、カメラでの撮り方の工夫も含めて、もっとダイナミックに空間を感じさせるようにしていきたいなと思います。
──楽しみです。最後に、komakinexという名前の由来は?
高校の同級生にコマキくんという部活もクラスもずっと一緒だった親友がいるのですが、彼は本当にすごくて、何をやっても勝てませんでした。だから、コマキの先へ行くという意味を込めてkomakinexです。
──いつの日か、コマキくんを超えたなと思えたら教えてくださいね(笑)
はい(笑)今後も頑張ります!
komakinex
大阪出身、1993年生まれ。2019年8月から株式会社たき工房にて、インタラクティブコンテンツの開発を行っています。teamLabに憧れてデジタルの世界へ、HEXPIXELSに憧れてオーディオビジュアルを始めました。個人ではTouchDesignerを用いて、VJとして活動しています。
TDSW
Tokyo Developer’s Study Weekend / TDSW は日本最大かつ最高頻度TouchDesignerワークショップを主催するチームです。
2018年4月に発足してから毎月2回以上のワークショップを実施し、現在40回近く開催されました。
イベントプラットフォームの登録者数は700人を超え、通算動員数は2000人近くに及びます。
ワークショップは初球から上級コースまで幅広く取り扱い、国内の各分野において有識なクリエイターをインストラクターとしてアサインしています。
また、アウトプットの機会としてクラブイベント「TOUCHOUT」やハッカソン、VJに特化したイベント「VJ概論」なども主催しています。
現在多くの国内IT企業からの注目を受け、ワークショップにとどまらない様々なデジタルクリエイティブに関するイベントやプロジェクトを行なっています。
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